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2007-01-21 14:34

↑ポスターが面白い。
■楢山節考(1983)
監督:今村昌平
脚本:今村昌平
原作:深沢七郎
出演:緒形拳、坂本スミ子、左とん平、倍賞美津子、あき竹城、ケーシー高峰他

今村昌平特集を組んでいる映画館で見てきました。ちなみに英タイトルはThe Ballad of Narayama(ナラヤマのバラード)。
「姥捨て山」の伝説でも有名な、70歳になった者を山に捨てる因習を描いた作品です。
人の心の暗い部分をひょうひょうと描けるユーモアで知られる今村監督の作品だけに、その斜に構えた視点そのものが何よりも面白い。
本作では信州の山中に住む一家と、カエルやヘビの交尾を対比しながら一家それぞれの葛藤を描いています。
大胆かつ奔放な描写が面白いのは、やっぱりそこに独特の「小汚さ」があるからだと思うんですよね。穴があれば覗いてみるし、かさぶたがあれば取ってみる。そんな感覚。
それでも話に聞いていたよりもずっと見やすく、娯楽性さえ感じる映画でした。館内も笑いの絶えない和やかな雰囲気だったし。生理的に嫌気を示す人もいなくて、ちょっと意外です。
あたしが思ったのはいい意味ですごくフィクションっぽい映画だったからかな、ということ。
大自然の中にいても、どこか都会人が田舎を撮っているような作り物感があるんですよね。そこが逆に現代人にとって受け入れやすい感覚を作っているのかもしれない。
いつもながら例えが悪くて申し訳ないんだけど、「クロコダイル・ダンディー」なんかはいかにも田舎者が田舎を撮った感じがするでしょ。それはそれでまた別の面白さがあるけれど。
それでも話が進むにつれて見えてきたのは作り物ではなく、個人の存在理由や存在価値という、人の命ひとつ分よりもずっと長い歴史と重みを持ったものでした。
一家を支える長男、嫌われ者の次男、遊び人の長男の息子。そして老いてもなお健康でいることを恥じる母。
演じる役者にはいい面が揃ってます。特に坂本スミ子が良かった。山を登っている間も長男の緒形拳を気遣い、いざ別れるときになって躊躇する彼の背中でじたばたする姿が印象的でした。
あと、あたしは塩屋として登場する三木のり平が大好きなのですが、あつかましいくらいの存在感があって彼もまた良かったな。
帰りの地下鉄で乗り合わせた人が「とても美しい映画だ」と言って感動していたのが印象に残りました。
あたしは映像そのままに、なんて小汚い映画なんだ。と誉めるくらいでちょうどいいような気がしていたんですけどね。醜さを素直に表現すると美しさになるんだろうか。あたしにはちょっと分からない感覚です。
もしかするとその人は楢山に雪が降るのは神が歓迎しているからだと信じているのかも。あたしは人が死にやすいからだと思っています。
結果的には同じことかもしれないけど、その受け取り方は少しだけ違うんだろうと思う。
