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2008-08-29 17:31
久々の更新で、この映画か。成長しない男ベン・スティラーが監督と主演を務めた「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」でお出迎え。*ランボーもどきのアクション映画をシリーズ化するもネタが尽きてきたハリウッド俳優
*一発ギャグで食いつないではいるが、芸もなく荒れた日々を送っているコメディアン
*毎回役にハマリすぎるのがたまにキズ、黒人を演じるために手術をしたばかりの名優
*アルパ・チーノの名でセックスシンボル&イメージキャラとして活躍するヒップホップ歌手
てんでバラバラなスターたちが、ベトナム帰還兵によるベストセラーを基にした戦争映画で顔を合わせることに。しかしキャリアの浅い新鋭監督のもと撮影は全く進まず、遂には中止命令が出されてしまう。そこで原作者はキャストを実際の現場に連れていきゲリラスタイルで映画を撮るべきだと提案する。このアイデアに発起した監督は早速カメラ片手に乗り込んでいくが、そこで彼らに向けられた銃は小道具ではないモノホンの機関銃だった!
これ、おバカな俳優が撮影だと勘違いしてゲリラと抗争するっていう話だと思ってましたが。
勘違いしたのは現場に着いてからの5分ほど。スティラーだけはいつまでも撮影だと思って道を進んでしまうものの、ロバート・ダウニー・Jrはすぐに気が付いて皆で脱出しようと試みる。しかし、そこらじゅうに本物の罠がかけられていると知っているのに、誰も彼も話すことは自分のキャリアのことばかり。役者はこうでなくちゃ、演技とはこうでなくちゃと本音がポロポロ出てくるのです。って、俳優が素直になるために必要なのはゲリラとの戦闘だったって映画なわけ!?
思いの外、俳優というおかしな職種についた人のために作られた映画でした。俳優ってバカなのよ〜っていう内容じゃなかったのね。逆に、役に没頭するあまり自身のアイデンティティーが曖昧になっていく俳優をダウニー・Jrが好演していて、その思い切った人選に感動すらしてしまいそうで(ちょっと言い過ぎ)。
2008-06-26 17:47

■ハプニング(2008)
原題:THE HAPPENING
監督/脚本: M・ナイト・シャマラン
撮影:タク・フジモト
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演: マーク・ウォールバーグ、ズーイー・デシャネル、ジョン・レグイザモ、ベティ・バックリー、フランク・コリソン
▲どこか詰めの甘い演技派2人がシャマラン映画とよく似合う▲
公式サイト
7月26日より日本公開
前作「レディ・イン・ザ・ウォーター」で文字通りファンを大混乱に陥れたM・ナイト・シャマラン監督の新作です。正直なところ、あの映画は出来損ないだと思ったのですが、それでも新作が出ると期待してしまう自分に何よりもガッカリしてしまいますね。でも今回あたしはサスペンスをひとつ解いたような気がするんですよ。シャマランというサスペンスを。
アメリカ東部の大都市に暮らす人々が理由もなく大量自殺するという現象が多発し、テロリストによる攻撃と思った市民はパニックに陥る。フィラデルフィアに住む科学教師エリオットは妻、同僚とその娘を連れて非難することにするが、乗り込んだ電車が名も知らない田舎町で止まってしまう。責任感の人一倍強いエリオットは科学の原理―それは現象の起こる「理由」ではなく「法則」を見つけること―を頼りに生き延びようと試みる。
これね、ヒッチコックの「鳥」なんです。ネタバレだとか、どんでん返しだとか関係のない映画なので思いきり書いてしまうと、そういうことなんです。今回は映画の結末を言わないで下さい、とも断ってなかったしね。
非情にシンプルなオープニングシーンは目が痛いほど青い空から始まり、次第に暗ぼったい空模様になっていきます。本編もまた、明るいというよりもほぼパステルカラーに近い色で「アンブレイカブル」の湿った天候と比べてもショッキングなくらい対照的。そしてストーリーが進むにつれ次第に、本当に微量ずつ、暗くなっていくのです。
映像だけでなく、なんと俳優もパステルカラー。教師役マーク・ウォルバーグと同僚ジョン・レグイザモという役者が真剣な面持ちで並んでいるのに、ここまで陽気な映像が出来上がるのは謎としかいいようがありません。逆にちょっと不安定だけど可愛らしい妻ズーイー・デシャネルとレグイザモの娘アシュリン・サンチェスの方がよっぽど暗いのです。このメインの俳優たちは何とも妙ちくりんで、でも抜群の統一感があって、なかなか悪くない。
また植物園のオーナー、フランク・コリソンの持つ陽気さは随一。「ヴィレッジ」ではチョイ役でしたが、この役者はとにかく面白いです。得体の知れない恐怖から逃げているときに彼がホットドッグの話をするシーンはお気に入り。ユーモアを忘れない、あるいはドラマの最中にビンタを食らわすようなタイミングでユーモアを入れてくる、それが本作のショッキングな部分でもあります。
ショッキングといえば暴力描写は凄かった。大量自殺する人々の方法がなんとも手が凝ったものになっていて、「ファイナル・デスティネーション」とでも張り合っているのかと思いました。特に、ある家庭用マシンを使った自殺が・・・残虐すぎて映画館では爆笑でしたけどね。観客ってこわい。
ところで何故、今回「鳥」のような明るい情景のなかで繰り広げられる理由なきサスペンスを選んだのか。ここからはあたしが解いた(と豪語する)シャマランの謎について。
悪名高い「レディ・イン・ザ・ウォーター」の記事でシャマランが自己表現の手段をアメからムチに持ち替えた、と書いたのですが、あの映画で描かれていた人の生まれ持つ役割のひとつに、ストーリーを伝え世界を変えるというものがありました。役割を担う人物を演じていたのはシャマラン自身。元々シャマランには友好的なあたしでさえ単刀直入さに困惑したもので、たぶん期待していたほど真意を分かってもらえなかったんでしょう。
今回まるまるヒッチコックの「鳥」をやってみせることで、言葉では伝わりきらなかった彼の内なる「役割」を表面化したんだと思うんですよ。繊細さに欠ける言い方をしちゃうと、ヒッチコックになりたいって事なんでしょうけど。でもそうやって考えてみると、恐怖のキングとして現れた「シックス・センス」、謎解きのレベルを上げた「アンブレイカブル」、スタイルを確立した「サイン」、ジャンル映画を乗り越えた「ヴィレッジ」、動機を告白した「レディ・イン・ザ・ウォーター」、そして本作へとシャマラン映画は軌道に沿っているわけです。
恐ろしやシャマラン。彼の映画の面白いところは娯楽性だと思っていましたが、実はぜんぶ、更なる衝撃のラストへ続く伏線だとしたら?この映画の結末は誰にも言わないでください。「シックス・センス」での断り書きは、もしかすると映画一本分どころか今後何十年も有効なのかもしれませんよ。シャマランが更に面白くなってきた本作、みなさんも楽しんで。